離婚を考え始めたら、名前(氏)の変更について整理してみましょう
離婚後の名前(氏)について考えてみましょう
離婚を考えるとき、今後の生活の様々なことが頭を巡り、不安に感じることがあるかもしれません。その一つに、「名前(氏)」をどうするかということがあるのではないでしょうか。
結婚によって氏が変わった場合、離婚によって氏がどのように変わるのか、手続きはどうすれば良いのかなど、分からないことが多いと心配になりますよね。
でも、大丈夫です。氏の変更について、難しいことはありません。一つずつ、落ち着いて整理していきましょう。
離婚後の氏の「基本」を知っておきましょう
結婚して夫の氏になった場合、離婚すると、原則として結婚前の氏(旧姓)に戻ります。これは自動的にそうなりますので、特別な手続きは必要ありません。
ただし、「離婚しても、結婚していた時の氏(婚氏)をそのまま名乗りたい」と希望することもできます。この場合は、役所に手続きを届け出ることで、引き続き婚氏を名乗ることができます。
つまり、離婚後の氏については、次の2つのどちらかを選ぶことになります。
- 結婚前の氏(旧姓)に戻る
- 結婚していた時の氏(婚氏)をそのまま名乗る
「旧姓に戻る」場合について
もし、結婚前の氏(旧姓)に戻ることを選ぶ場合は、特に役所に氏を変更するための届け出をする必要はありません。離婚届が受理されれば、自動的に旧姓に戻ります。
ただし、氏が変わることで、後から必要になる手続きがいくつかあります。例えば、次のようなものです。
- 銀行口座の名義変更
- 運転免許証の氏の変更
- パスポートの氏の変更
- 保険(生命保険、医療保険など)の契約者氏名の変更
- 年金手帳やマイナンバーカードの氏の変更
これらの手続きは、氏が変わった後でご自身で行う必要があります。後で慌てないように、どんな名義変更が必要になるか、少しずつ確認しておくと良いでしょう。
「婚氏をそのまま名乗る」場合について
離婚後も、結婚していた時の氏(婚氏)をそのまま名乗りたい場合は、役所に手続きが必要です。
この手続きは、「離婚の際に称していた氏を称する届」(通称「婚氏続称届」)というものを提出します。
- 提出先: お住まいの市区町村役場、または本籍地の市区町村役場
- 提出期限: 離婚届と同時に提出することもできますし、離婚届を出した後でも、離婚の日から3ヶ月以内に提出する必要があります。この期限を過ぎると、原則として婚氏を名乗ることは難しくなりますので注意が必要です。
- 必要なもの:
- 離婚の際に称していた氏を称する届(役所の窓口でもらえます)
- 届出人の印鑑(認印で構いません)
- 戸籍謄本(本籍地以外の役場に提出する場合に必要です。戸籍謄本とは、戸籍全部事項証明書とも呼ばれ、家族全員分の情報が載っている公的な書類です。本籍地の役所で取得できます。)
- 本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
手続き自体は、この届け出用紙に必要事項を記入して提出するだけです。書き方が分からない場合は、役所の窓口で教えてもらえますので、心配いりません。
婚氏続称届が受理されると、氏が変わらないことになりますので、銀行口座や運転免許証などの名義変更は基本的に必要ありません。ただし、住民票の氏などは変わらないものの、ご自身の戸籍は新しく作られることになりますので、必要な手続きが発生する場合もあります。
どちらの氏を選ぶか、考えてみましょう
旧姓に戻るか、婚氏をそのまま名乗るか、どちらを選ぶかはご自身の自由です。
旧姓に戻ると、周りの人に離婚したことが伝わりやすいという面があるかもしれませんが、生まれ育った氏に戻ることで気持ちの区切りがつきやすいと感じる方もいます。
婚氏をそのまま名乗ると、日常生活で氏が変わることによる手続き(名義変更など)が少なくて済むことが多いですが、親族や周囲との関係でどう感じられるか気になる場合もあるかもしれません。
どちらが良いということはありません。ご自身の今後の生活や、気持ちの面で、どちらがより落ち着いて過ごせそうか、ゆっくり考えてみてください。
すぐに決められない場合は、一旦旧姓に戻り、後から家庭裁判所の許可を得て氏を変更するという方法もありますが、手続きが少し複雑になります。まずは離婚届を出す前に、旧姓に戻るか、婚氏をそのまま名乗るかを決めて、必要であれば婚氏続称届の準備をしておくのがスムーズでしょう。
まとめ
離婚後の氏の変更について、
- 原則は旧姓に戻る
- 手続きをすれば婚氏を名乗り続けることもできる
ということをお話ししました。
氏の変更は、ご自身の気持ちや今後の生活に大きく関わることですので、じっくり考えてみてください。もし婚氏を名乗りたい場合は、離婚の日から3ヶ月以内に手続きが必要であることを覚えておきましょう。
氏が変わることで必要になる名義変更なども含め、一つずつ確認していくことで、先の見通しが立ち、不安が少しずつ和らいでいくはずです。焦らず、ご自身のペースで準備を進めていきましょう。